日銀のマイナス金利で国債と金利の関係はどうなったのか?

日銀のマイナス金利政策前の

国債と金利の関係は?

 

これまでの日本銀行の金融政策というのは、一般の銀行から様々な資産、主に国債を買って各銀行の口座に振り込むというものでした。

 

そして、これにより各銀行は、日本銀行にお金を預けているだけでは儲けが少ないので、企業であったり家計であったりに貸し出すだろうから、それによって経済が活性化するだろうというのが量的緩和の目的だったのです。

 

ところが、不思議なことに各銀行が日銀に預金をすると、これまでは0.1%の金利を付けていたわけです。

 

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実はこの各銀行の預金に

日銀が金利を付けるという方法は・・・

 

リーマンショック後の銀行経営の急速な悪化を防ぐ緊急措置としてある意味導入された方法なのです。つまり、各銀行は日銀に預けておきさえすれば、0.1%とはいえ金利が付いていたのです。

 

これですと、ある程度リスクを取って貸し出すよりも、日銀に預けておいた方がいいのではないかとなってしまうのです。

 

たった0.1%でそうなってしまうのかと思うかもしれませんが、預金金利はかなり低くなっていますので、その預金金利と比較すると0.1%でも「ある程度の金利が付く」ということになるのです。

 

しかも、金額のボリュームが非常に大きいですから、それを考えると、1年間に銀行業界全体でおよそ2,000億円ぐらいは、ただ日銀に預けているだけで利益が出ていたのです。

 

これでは貸し渋りになってしまうのも仕方ないですよね。

 

(参考)国債と金利の関係:為替相場と国債利回りの関係性

 

日銀のマイナス金利政策後の

国債と金利の関係は?

 

なぜマイナス金利導入後も日銀に預けていたお金に金利を付けているのでしょうか?

 

それは、リーマンショックはかなり前のことになりましたが、ずっと銀行自体がその金利分を当てにした財務内容になっていたからです。つまり、これを急にゼロにしてしまうと銀行の経営に混乱をもたらす恐れがあったからなのです。

 

ですから、マイナス金利になっても、これまですでに預け入れた分については、これからも0.1%の金利を付けることになったのです。

 

ただし、これから新たに預けるものについては、マイナス金利を適用することになっていますので、少し回りくどい方式といえます。

 

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日銀のマイナス金利政策後の

国債の利回りは史上最低に!

 

マイナス金利導入を受けて、早速預金金利が下がっています。実際預金金利は、およそ12〜13年ぶりの水準まで低下しているようです。さらに、貸し出しの時の基準になる国債の利回りは史上最低のところまで下がっています。

 

このような状態は、どのようなことをもたらすのでしょうか?

 

まず銀行側としては、もはやただ日銀に預けていても仕方ありませんし、また国債の金利も下がっていますから国債を持っているだけでも仕方ありません。こうなると、銀行としてはある程度のリスクを取って貸し出しに回していくしかありません。

 

家計や預金者も同じです。定期預金と普通預金の金利が同じ状態では、定期預金に預けても全く意味がありません。それなら社債や株式など他の投資に資産をシフトしていこうと対応する行動を取るようになっていくはずです。

 

これが今回の日銀の金融緩和の一番の狙いなのですが、実際にそうなるかどうかは、各国の状況を見るとわかりそうです。

 

ただ確かに金利は下がるのですが、それが実際の貸し出し増に結びつくかどうかというのは、どうも国によっても事情が違うようなのです。

 

今回のマイナス金利政策の

最大の効果は?

 

今回のマイナス金利政策ですが、マイナス金利そのものについては、それほど大きな政策効果はないと言えます。

 

というのは、一般の銀行に金利を付けていたというおかしな状態は、いつかやめなければならなかったわけで、今回はそれを通常の金利を付けない状態に戻した単なる調整になるからです。

 

ただし、政策全体としては、日本銀行は「やるときはやる」「動くときは動く」というのを示した効果は大きいといえそうです。

 

実は経済政策というのは、何をやるかよりも何をやっていると思われるかの方が重要だったりするのです。特に日本の中央銀行が徹底してデフレ脱却をすると言って、それに継続的な姿勢を持っているのだと思われると、一つ一つの細かい金融政策の効きが良くなるのです。

 

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